みどりのながれ

日々のメモ

愛知県美術館 古代エジプト展

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一ヶ月ほど前の話ですが、愛知県美術館で開かれている

『ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展』に足を運んできました。

 

今年はコロナウイルスの件で外出自粛。

美術館・博物館の類もですが、

街への買い物にもろくに行かず数ヶ月を過ごしました。

…ハッキリ言ってめちゃくちゃ退屈…!

サッカーの大会も中止になり、旅行もできず、

外食も満足にできなければ、イベントごとも中止が相次ぎ…

ゲームがなかったら別の意味で廃人になってたかも。

 

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…と、ちょっと前置きが長くなりましたが、そんな中での久々の栄。

こういった展示へ赴くのも2月初旬に東京でラリック展に出かけて以来です。

 

自分が訪れたのは金曜日の16時頃だったので、

入場制限などは行われていませんでしたが、

土日祝日は事前予約のようなシステムで入場者数を絞っているので

これから行く予定の人はよく確認しておいた方がいいかも。

 

入り口で検温と手指の消毒を済ませ、

音声ガイドは…今回は借りませんでした。

ちなみにガイドを担当されているのは声優の森川智之さんだそうで!

アニメやゲームなどでもおなじみですね。ベテランさんです。

 

展示内容についての感想含みます

 

展示物は主に当時使われていた道具、装飾品、信仰にまつわるものなど、

どちらかというと当時の一般市民の暮らしに

思いを馳せるようなものが主体といった印象です。

古代エジプトというと王家の金ピカ財宝!みたいなイメージも

あるかもしれませんが、それとはちょっと違うという。

チラシなどのビジュアルを大きく飾っている棺は別ですけどね…!

エジプト神話の神々も随所に存在を覗かせているので、

そういった知識があればより深く楽しめるのではと思いました。

パズドラ遊戯王メガテンあたり通ってるオタクなら

とりあえず大丈夫なんじゃないかな。(適当)

 

まず最初に石碑や石のオブジェが出てくるんですが、

その状態のよさと、貴重な品であるはずのその展示を

間近に見られることに驚きます。

中には手を伸ばせば触れる状態で展示されているものもあり、

(よいこはさわらないでね)

「ああ、これはレプリカなんでしょ」と思わせておいて本物…

みたいな流れもあったり。

 

また、そういった貴重な品々を展示するにあたっての苦労にも

思いを馳せてしまいました。

愛知県美術館は他の美術館と少し異なるところがあって、

地上10階の高さにあるんですよね。

大きな専用のエレベーターがあるんでしょうけど、

今回のような石碑や棺などそれなりに大きな展示物も多い中で

細心の注意を払いながら輸送しているさまを想像すると、

それだけで開催してくれてありがとう…という気持ちで溢れます。

 

 

展示の目玉である棺は、立てた状態で展示されていて、

そのほとんどが中が見える状態になっていました。

自分はそこで初めて気付いたんですが、

古代エジプトの棺って外側の装飾とかは有名でも、

内側を気にしたことってあまりなかったなと….。

今回の展示で初めて棺の内側にも絵柄があるということを知りました。

 

外側の装飾にも言えるようですが、

時代によって細かかったり簡素化されていたり。

使われる色や形も年代によって傾向みたいなものがあるそうです。

ツタンカーメンのものぐらいしか

今まで知識の引き出しにありませんでしたが、

バリエーション豊かで様々な表情の棺を見る事ができ興味深かったのと

その点数と個々の存在感に圧倒されました。

後述のミイラもですが展示物が放つパワーが強すぎる…。

 

 

最後のフロアには数点のミイラと、

CTスキャンによって内部解析した際の映像が公開されています。

ミイラ…。

大体の人がそうだと思うんですが、初めて見ました。

間違いなく人の形をしていて、

それが布に包まれて寝かされている…といった雰囲気で、

こうして一人の人間だったものを展示物として

多くの人の目にさらしていいものか…といった

背徳的な気分になるような、なんとなく近寄りがたいような

表現しがたいエネルギーを感じました。

 

あんまりオカルト的なものと結びつけるのも野暮なんですが、

敏感な人は具合が悪くなるなんてこともあるんじゃないかと。

展示物と空間が放つパワーが強すぎる。

 

驚くべきはその作り方もですが、古代エジプトの死生観によって

一種のライフイベントとしてミイラ化がされていたこと。

(王族・偉人だけというわけではなかったみたい)

魂が戻るための器を残すという意味でミイラとなった人間が、

こうして数千年経った今も残っていること。

そういった点に衝撃を受けました。

 

保存するための技術や方向性という意味では、

現代まで残っているという事実が大成功を証明しているんですよね。

恐るべし古代文明

 

 

それにしても、紀元前1000年代とかの品々ですよ…。

2020年を生きる私たちとは3000年ほどの年代差があるわけで…。

(モノによっては5000年差とかもアリ)

なおかつ遠くエジプトの地からオランダの博物館に移された品が、

この極東の島国の小都市名古屋までやってきている…。

時空共に奇跡的な邂逅だと思いませんか。

 

それをたとえば、仕事終わりにふらっと立ち寄って、

1000円ちょっとでそんな素晴らしい体験を享受することができる…。

主義思想の押しつけはよくないんですが、

博物館・美術館に行くと、この現代人のありがたみポイントを

一人でも多くの人が経験すべきだ…!という気持ちになってしまいます。

 

こんな世情ということもあってか、

今回の展示はいつもよりその感情を強く感じてしまいました。

お近くで展示がある方はぜひ!

強く推させていただきます。

数千年の時を過ごす遺物たちの時の流れに、

2020年を生きる人間として一時間、一分、一瞬でも

接触してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

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おみやげも買いました…!

ヒエログリフやメジェド様など、

現代人にもファンが多い古代エジプトモチーフ。

きっとこれからの時代も末永く愛されるに違いありません。

 

 

こんな発見もついこの間あり、

さらなる謎の解明や研究結果に期待が膨らみます。