キミにきめた! 感想まとめ
今年のポケモン映画『ポケットモンスター キミにきめた!』を観てきました。
合計2回。 1回目はフォロワーさんと。2回目は一人でいってきました。
ポケモン映画をひと夏に2回見るなんて、『白き英雄』『黒き英雄』の時以来ですね。
例年になくよかったので、メモ程度に感想まとめておこうと思います。
🔴全体🔴
公開直後から評判がよく、なおかつ泣けるとのことでかなり心の準備をしていったせいか、
予想を少し上回る程度かな…? といった感じでした。
それでも、去年などと比較して格段に盛り上がったのは確か。
詰めに詰め込んで、よく言えば捨てシーンゼロ。
悪く言えば尺が足りず、起伏という点でも乏しい。 ギリギリの塩梅だったと思います。
公開前はマーシャドーやマコト、ソウジといった見知らぬ存在が気になった人が多く、
どうせいつも通り…みたいな評価だったんですが、
そんな悪評が公開と共に覆ったのはよかったなと自分も思いました。
いくつかあった『約束破り』についても、
20年間続いたアニメ版ポケモンだからこそできない・できなかったことをやってくれたという意味では
非常に貴重でありがたいものだったと感じます。
🔴サトシとピカチュウ🔴
いつも強い絆を見せてくれるこのコンビですが、
今回の映画の中盤以降についてはそれはもう群を抜いていたと思います。
あとで述べる『約束破り』のあのシーンには驚かせられました。
🔴マコト🔴
最初は不安要素の一つとして見られてましたが、自分としてはアリだなと思ってました。
結果的に多くの人に受け入れられ、好感のもてるキャラクターに仕上がってたので本当によかったです。
声を担当された佐藤栞里さんも非常に上手で、キャスティングに関しても評価したいですね。
フタバタウン出身かつ、ポッチャマのトレーナー。
そして母親の姿がどことなくシロナに似ていたので、
親子関係…というわけではないでしょうけど血縁関係にあたるのは間違いなさそうな感じですね。
第4世代のリメイク作品が出るとするならば、ゲストとしての登場もあるのかも…と
少し勘繰ってしまいました。
🔴ソウジ🔴
マコトと同じくシンオウ出身の彼。
トバリシティのルカリオ使いというとスモモを思い出しますが、
どちらかというとゲンやアーロンの系譜を感じました。
幼少期の彼とレントラーとのシーンは、なんの前情報もなかったうえ衝撃的な演出の連続で
こんなことを書くのもなんですが、一番心に響いたシーンだったかもしれません…。
レントラーを失ったあと、しばらくポケモンと仲良くなるのが怖かったというようなセリフがありましたが、
克服した相手がルカリオだというのがまたいいですね。
どちらも青黒配色なのが運命的だと思いませんか?
マコトと同じく、声を担当された本郷奏多さんがやはり上手で。
ストーリーを通して安心して観ていられました。
🔴クロス🔴
サトシたちのライバルとして描かれたキャラクター。
声の担当は声優の逢坂良太さん。
感情を込めたセリフや場面が多かっただけに、本業の方を起用したのは絶妙だったと言えるかも。
サトシはピカチュウの信頼を得るために最初の試練(オニスズメ)を乗り越えるまでの間
少し時間がかかってますが、彼は最初からいかにもプライドが高そうな最終進化形のポケモンを
完璧に従えた状態で登場するんですよね。
往年のファンだとそのあたりでまず「いけ好かない奴だが腕前は確かだぞ」みたいなところに気付けるのが
これもまた絶妙なチョイスと演出だったと思います。
価値観はサトシと大きく違えど、彼の信念もまた間違いではないこと、
あれだけひどくあたっていたヒトカゲ(リザードン)にも最後まで信頼されていること、
クライマックスのシーンに操られたルガルガンに対してちらっとつぶやく
「最初もこうして噛みついてきたよな…」というようなセリフから、
彼の本質、そして苦悩や努力が垣間見えるという点でも魅力的なキャラクター設計でした。
🔴マーシャドー🔴
今年の山ちゃん枠。
映画初出の幻ポケモンというと、タイトルにも名前が出るような主役級の扱いというのが
これまでのイメージでしたが、今回はサトシとピカチュウに主役を譲るという形になりました。
日曜朝の『ポケんち』で、マーシャドーの役を無理矢理させられた山寺さんが
「映画の時よりもたくさん声出したからね」というようなコメントをしていて「んなまさか~」と思ったんですが
ガチで本当の話でした…。
そういうわけで登場シーンは意外に少なめですが、その中できっちり強キャラ感や専用Z技、
得体の知れない雰囲気などが表現されていたのでいいバランスでした。
🔴約束破り🔴
ポケモン映画20周年ということで例年とは違ったストーリーが描かれた今作だけに、
あえて『約束破り』をしただろうという展開が数多くありました。
ここが今作の面白さにつながっていると思いましたね。
・ポケモンの死を描く
ポケモンタワーなど、人間たちと同じようにポケモンも死ぬという世界観が示されつつも、
ポケモンは今まであえて死別といったテーマや描写からは遠い作品でもありました。
ところが今作ではソウジのレントラーのほか、クロスに捨てられ死にかけたヒトカゲ、蘇った三犬の伝説など
ポケモンたちに忍び寄る死のような描写も濃かったなと感じました。
アニメの方でもニャビーと親しかったムーランドが突然姿を消す(ぼかされてたけど事実上の死別)という
回がありましたが、それ以上の過酷さが垣間見えてリアルだったなと。
(特にヒトカゲに対しては進化しても困難続きで思わず心配しましたw)
ホウオウにスポットライトが当たってるというのも要因かもしれません。
・現代日本の描写
ポケモン世界は一見現代をモチーフにしているようでいて、パラレルワールド。
街の電線もなければ、義務教育で学校に通うこともなく、
車や飛行機といった移動手段は最低限で、広大な自然の中にある街を点と線でつないでいる感じ。
ところが中盤のあるシーンでは、現代日本さながらの描写がされ
サトシが通う学校の屋上からは、私たちが見るような都市の風景が広がっているという
衝撃のシーンが描かれました。
くすんだ色彩の中、マコトやソウジのそっくりさんとの会話もどこか閉塞的で夢がなく、
憧れの世界がガラガラと音を立てて崩れ現実に引き戻されたかのような喪失感。
大げさかもしれませんが、そんな気持ちを味わいあのシーンは特に胸が締め付けられました。
サトシの居場所はこんな場所じゃない、早く戻って…! と願わずにはいられませんでしたね。
・「ずっと一緒にいたいから」
最大の約束破りがこのセリフ。
セリフの主はなんとピカチュウです。
ポケモンは鳴き声のみで喋らない、というのがポケモンという作品全般でのルールですが
(一部伝説ポケモン等は特殊能力という名目で可能…)
クライマックスでとうとうこのシーンが。
ただ、実際に喋ったかどうかは曖昧な見せ方で、”そう言ったように聞こえた”ともとれるのがミソですね。
実をいうと映画を観る前にTwitterでこの話を聞いてしまって、
いつもはネタバレ容認どころか自ら探しに行く私ですが、この件に関してはちょっと失敗したなと後悔しましたね;
ボールに入るのが嫌いだから、ではなくずっと一緒にいたいからというのが
サトシとピカチュウの絆を感じさせるとても重要なシーンでした。
最強のコンビですね。
🔴隠しキャラクター🔴
ところどころに出てくる、アニメやゲームを知っている人なら分かるキャラクターが、
今回の映画には多く登場していました。
学校のシーンのキクコや、マコトの母がシロナ似であること、
オーキドからポケモンを受け取ったシゲル、歴代映画に登場したキャラクターたちなど
気付いていないところでもっといるかもしれません。
そういう”ゲスト”を探すのもこの映画の楽しいところでした。
20年も続いてきたシリーズだからこそといった感じです。
(劇場版恒例のあの親子もいました)
…とまあ、まとめるとこんなところでしょうか。
もっと簡潔に切り上げるつもりがなんだかんだでこんな文章量になってしまった…。
こうなると気になるのは来年以降の展開ですが、とりあえず今はこの余韻に浸ろうと思います。